大ちゃん

仕事に行く時、車を運転していると必ずある交差点に大ちゃんがいる。
大ちゃんといっても、本当の名前は分からない。
私が勝手に大ちゃんとよんでいるだけだ。
たぶん知的障害者の方だと思う。
いつも車を見て楽しんでいるようだ。
寒い時は、ジャンパーを着て、暑い時には半ズボンで、雨の日には傘を持って立っている。
家族の人が持たせてくれるのだろうか。
それとも一人暮らしなのだろうか。
通学する小学生が、大ちゃんにも普通に挨拶しているようだ。
私は車から見ているだけなので声までは聞えないが、大ちゃんも頷きながら挨拶しているようだ。
こんな具合に、私は勝手に大ちゃんのことに関心を持っている。
だから、交差点に立っていいない日は「今日は大ちゃんどうしたんだろう」と思ってしまう。
決して私と大ちゃんが話を交わすことはないだろう。
そして、大ちゃんの本名を知ることもないだろう。
しかし、なぜか大ちゃんは私の心を和ませてくれる。
大ちゃん、またいつもの交差点で会いましょう。