隔世遺伝

私の祖父は、文章を書くのが好きだったらしく、公民館などにも文章を寄贈していたようです。
そして、自分の戦争経験を綴った「陣中手記再録」という本を自費出版したりもしました。
私も読んでみましたが、戦争時代の経験が、ありのままに書かれていて、読んでいると頭の中に光景が浮かんでくるかのようです。
そして、数年前になりますが、NHKの番組で戦後60年をテーマにした番組があって、本の一節が紹介されました。
読んでくれたのは、俳優の長塚京三さんでした。
「自分は戦争で生き残ったが、多くの戦友も失った。自分が生還できた事を手放しで喜んでいいものだろうか…。」
というような内容でした。
祖父は、既に27年前に他界しているので、まさかテレビで紹介されるとは夢にも思っていなかったことでしょう。


隔世遺伝なんでしょうか、ご覧のとおり私も文章を書くのが好きです。
今は、ブログを通じて自分の意見を表明できますが、祖父の時代はそう簡単ではなかったと思います。
その点、現在は恵まれています。
私の夢の中に「本を書く」というのがありますが、今のところ具体的な構想があるわけではありません。ぼんやりとはありますが…。
しかし、必ず実行したいと思います。


祖父は、私が3歳のときに亡くなったので、憶えていることはほとんどありません。
一緒に写った写真があったり、家族から話を聞かされる程度です。
私は祖父が好きだったらしく、いつも後を追いかけていたようです。
そして、祖父が口にするものは何でも飲みたかったらしく、トマトジュースを一緒に飲んでいたそうです。
そんな話も、思い出そうとすれば思い浮かぶような気もしますが、それが現実なのか、聞いた話を頭の中で再構築しているだけか分かりませんが…。


いずれにせよ、本を書いた祖父を誇りに思いますし、自分も一歩でも近づけるよう歩んでいきたいと思います。